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印刷業の新たな役割と印刷ビジネス


  「印刷需要は減少。しかし発信する情報量は増加。」Webなど,新たなメディアが登場する中で,社会はこのように変化しています。例えばWeblog(ブログ)。これは個人が大衆に対して,自らの情報を日々発信し,そのコミュニケーションが口コミ効果を生み,商品については,店頭や雑誌メディア以上に正確で早い情報が集まり,消費行動にも大きな影響を及ぼしています。このような時代の中で印刷業は何を目指せばよいのでしょうか。
 印刷業は,印刷制作の省力化・高速化・低コスト化を実現する技術・設備力で勝負してきました。そしてこれは行き着くところまで達した感があります。そこでより一層の低コスト対策として,中国を始めとする東アジアへのアウトソーシングの取り組みも活発になっています。もちろんこれもコストという顧客ニーズへの対応として重要ではありますが,顧客はこれのみに困っているのでしょうか?
 様々なメディアが登場する中で,顧客はそれらを活用したコミュニケーション策にこそ悩んでいます。従来は商品・サービスができれば,チラシ・パンフレットを作成し,営業活動をするのみでした。しかし即時性を発揮し,ユーザーの口コミ効果もあるWeb,対象別にアプローチができるオンデマンド印刷など,新たなメディアが登場する中で,これらは従来の印刷メディアの延長で考えることができず,この新たなメディアによるユーザーとの親密なコミュニケーションによっていかにビジネスを生み出すのかが,我々の顧客の今後の生き残り目標となっています。
 では,各々のメディア特性を理解し,企業のメディア戦略を支援すべき役割は誰なのでしょう。私は情報編集力のノウハウを有した印刷業がその役割であると考えます。 印刷業はこれまで,顧客の立場で素原稿を集め,それを編集・デザインし,印刷物を顧客のビジネスシーンに提供していました。つまり顧客の黒子となり,ビジネスをともに生み出すパートナーであったはずです。しかしある時から,その視点が顧客から自らの印刷技術のみに移り,この強みが忘れ去られてしまったのです。 たしかに,印刷需要が溢れる時代であれば,顧客のビジネスに立ち入らず,言われるままの印刷物を作ることで印刷業は自らのリスク回避ができ,多くの利益を生み出せました。しかし時代はこのままなのでしょうか?
 印刷物とは顧客のビジネスが活発にならなければ,需要が増えることはありません。つまり情報編集業としての印刷業のメディア力という強みを思い出し,新たなビジネスモデルの構築に悩む顧客とともに,今こそ2人3脚でビジネス創りにトライするべきなのです。
 顧客のワークフローがあり,そこで生まれる様々なドキュメント・コンテンツがあり,その協議・検討された結果が,ビジネスとなり,その中身を印刷物などのメディアへ出力していく。つまり顧客のドキュメントワーク・データベースと印刷・Webなどのメディアを連携させたコンテンツマネジメントシステムの実現がビジネスを支える鍵となり,これが顧客を支援した結果から生まれる顧客と連携した印刷業のビジネスモデルの姿です。  XML,データベース,Webの様々な技術へ注目が集まります。しかし印刷技術の視点から考えると接点が見つかりません。しかしお分かりのように,これらは顧客とのコンテンツマネジメントシステム実現のために不可欠な技術なのです。しかもこのシステム像に最も近い存在が,情報編集業=印刷業であり,このシステム構築・運用支援,そして結果としての印刷物出力の役割として,顧客にとってなくてはならない存在に貴社は成長します。
 景気が悪い・社会が悪いとこれまでの印刷ビジネスの範囲で悩むのか,顧客との新たな関係からビジネスを生み出す時代になったと夢を持って考えるか,貴社の分かれ道をいま迎えているのです。



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